ゲーム概要
ポケットモンスター( ポケモン )ダイヤモンド、パール、プラチナの舞台となったシンオウ地方の過去の物語。
ヒスイ地方と呼ばれているその地に主人公が舞い降りるところからストーリーは始まる。
ターン制ポケモンバトルもありながら本作の特徴はポケモンの捕獲にある。
戦闘を行わずしてポケモンを捕獲する。これがメイン。
捕獲方法はモンスターハンターやメタルギアに影響を受けたであろうシステムとなっており、ポケモンンを捕獲することにおいてはこれまでのシリーズとは全く違う内容となっている。
さらにはボスバトルもその捕獲システムと同様の操作で行い、ポケモンバトルはおまけ的な要素となっている。(ポケモンバトルを行わずともボスバトルをクリアーすることができる。)
あらすじやゲームシステムについてもう少し深堀していこう。
あらすじ
主人公は謎の力で過去のシンオウ地方であるヒスイ地方に降り立つ。
そこでポケモン博士「ラベン」と出会い、当面の衣食住確保のためギンガ団に所属することとなる。
ギンガ団に所属した主人公は時を同じくして発生した各地のキングポケモン(各地のヌシのようなポケモン)の暴走を止める指令を受ける。
各地のキングポケモンたちを鎮めながら主人公はヒスイ地方に伝わる「シンオウ」に関する謎を解き明かしていく。
ゲームシステム
ポケモンであり、ポケモンではないようなそんなシステム。
従来のポケモンは敵と戦い、ある程度HPを減らしたうえで戦闘中にポケモンボールを投げて捕獲する、というものであったが、今回は見つからないようにこっそりポケモンに接近して戦闘を行わずに捕獲する、というのがメイン。
(従来どおり戦闘を行ってポケモンを捕獲することも可能。)
これまでのポケモンが「バトル」メインであったことと違い、今作のメインは「捕獲」なのである。
身を低くして気配を殺し、各種アイテムで姿を隠したり足音を消して静かにポケモンに忍び寄る。
ポケモンの好物アイテムを付近に投げてポケモンが気を取られている間に背後からポケモンボールを当てて捕獲する。
この一連の動作はさながらメタルギアソリッドシリーズである。
ポケモンに見つかっても即戦闘とはならないため、主人公は逃げて敵の追尾を振り切るか、覚悟を決めてポケモンバトルを行うかを選択することとなる。
敵の追尾を振り切る際にポケモンは「主人公」を攻撃してくる。これまでのポケモンとちがって「人間」を攻撃してくるのだ。
これを主人公は回避行動などで回避するのだが、この前転回避で敵の攻撃をかいくぐる姿はまさにモンスターハンターのそれである。
ボスバトルもモンスターハンター的になっており、敵の攻撃を避けてシズメダマと呼ばれるポケモンボール的なものを投げつけるというアクションゲームとなっている。
ターン制バトルのイメージが強いポケモンにおいてアクションの技術を要求されるのである意味新鮮である。
世界観はポケモン、フィールドはゼルダの伝説botw、捕獲はメタルギア、ボス戦はモンスターハンターといった感じのゲームに仕上がっている。
また、ポケモンには「オヤブン」と呼ばれる大型の個体が存在しており、通常より強い個体となっている。
戦闘を介さずポケモンを捕まえられるため、この「オヤブン」を捕まえることでこちらのPTが弱い状態でも強力なポケモンを仲間にすることができる。
このあたりの「急に強くなった」感じはRPGにおいて非常に楽しい部分ではある。
良かった点
・広大なフィールドとリアルな世界観
広大なフィールドにポケモンが生息していてその世界を自由に歩き回れる、というのは楽しい。
ポケモンに接触することでエンカウントするのではなく、見つからないように行動して見つかったら逃げる、という行為がポケモンの世界に「ポケモンが住む世界のリアルな感覚」を与えてくれる。
リアルな感覚があるからこそ新しいポケモン、珍しいポケモンを見つけたときに嬉しさや緊張感を生み出しているように感じる。
・ポケモンを捕まえる楽しみ
また、ポケモンを一匹捕まえて終わりではなく、複数捕まえたり、そのポケモンが使う技を見たりすることで徐々に図鑑の内容が充実していくのも複数のポケモンを捕まえることに意味が見いだせた。
・王道のターン制バトル
ポケモンバトル自体はメインではないものの、バトルシステムは王道であり、しっかりしている。
この辺りはさすがポケモンである。
タイプの概念はこれまでと同じで圧倒的に強いタイプというのがおらず、それぞれのタイプに特徴があって戦闘時にどのポケモンを使うのか選ぶ楽しみがある。
ポケモン毎に覚えられる技に違いがありポケモン毎に個性が出ていて非常によい。
・しっかりとしたゲームバランス
親分ポケモンも捕まえて一気に戦力を上げることができるが、捕まえたポケモンのLVが高すぎるとギンガ団ランクが低い場合、言うことを聞かないなど単純に無双できないようになっているのもゲームバランス的によくできている。
「ポケモン」という土台がしっかりしているのでゲームとして普通に楽しませてくれる内容となっていたと思う。
悪かった点
・各アクションの作りが粗い
メタルギア、モンハン、セルダ等の要素を詰め込んでいるがどれもこれも作りが粗く浅い。
ポケモンを捕獲するためにこっそり忍び寄るスニーキングの要素はあるが、めちゃくちゃ遠くから主人公を発見する敵などがいて遮蔽物のない場所ではすぐに見つかってしまう。
アイテムなどで視界を遮ったり、フルーツを投げて気を引いたりできるのだが、ゲーム内での説明が不足しているためそういったアイテムの用途について気づかずに進みがち。
結果、作りが粗く感じてしまう。
アイテムの有用性がわかるとどのポケモンに対しても同じような対応で捕獲できてしまうため、工夫の余地が少ない。
また、ポケモンに見つかった場合やボス戦などでモンハン的なアクションを要求されるがこれも作りが粗い。
フィールド上でポケモンに見つかり敵視された場合、かなり敵との距離を取らなければいけないため回避行動などするよりも移動速度の速い乗り物にのって遠くに逃げるだけとなる。
そのため、回避行動などのアクションをとる必要がほとんどない。
ボス戦については基本的に前転回避の無敵時間でボスの攻撃を回避してシズメダマと呼ばれる武器を投げつけるだけの単調な作業となってしまっている。
ボスによる攻撃の違いはあれどもやってることはどれも一緒である。
ボス戦においてはアイテムや連れて行っているポケモンでボスの行動を制限したり、ダメージ量を増やしたり、といった要素は一切ない。
申し訳程度にボス戦中にポケモンバトルを行うことはできるが、これも必須ではなく、むしろ時間がかかるのでやらないほうが良い、といった場合まである。
ごった煮にしてしまったので味がぼんやりしてしまった、そんな印象である。
・過去作の悪い部分が進化していない
今作はポケモンの「捕獲」がメインとなっているため、同じ種類のポケモンを大量に捕まえるようなゲームシステムとなっている。
にもかかわらず、ポケモン牧場(これまでのポケモンボックス)でのポケモンごとのソート機能などが従来のままである。というかソート機能自体が無い。
最終的に数百匹以上になるであろうポケモンがソートできない、というのはこの時代のゲームとしていかがなものだろうか。
様々なポケモンを使ってみたいと思う反面、ボックス内にいるポケモンが煩雑に並んでいるため、探す気がうせてしまい、一部の強いポケモンのみを使うことになってしまっている気がする。
これだけの種類のポケモンがありながら私自身数匹のポケモンしか使用していないのはポケモンボックス内でポケモンたちを眺めることがあまりないからであろう。
・操作感が複雑かつ説明不足
個人的な感覚、という前置きがあってだが、操作に慣れるまで非常に時間がかかった。
というのもアクション部分の操作ではない。
メニューやアイテムの選択、地図の表示などの部分での操作感である。
なんというか間違えるのだ。
メニューを出そうとして地図を出してしまったり、ポケモンを投げようとしてメニューを開いてしまったりどうも操作と直感的操作がチグハグになってしまった。
この辺り他の方はどうだったのだろうか。
なぜこうなるのか、モンハンやメタルギアと近い操作なのにメニューの選択方法が違うからなのか。
この点は個人的にと前置きしたうえですごく気になった部分である。
また、ポケモンの早業や力業などを選択することで敵と自分のポケモンの行動順が変化するのだがこれを視覚化するための操作の説明がない。
戦闘画面上に一応記載はあるのだが見落としがちになる。
複数の敵と対峙した際のターゲットの切り替え方法も同様である。
他にもアイテムの有効活用方法であったり壊せる壁についてであったり説明が不足している気がする。
こういった部分がちょっと不親切に感じた。
ストーリーに関しては最終的に主人公が過去の世界から戻れないところも消化不足である。
勝手にアルセウスに呼ばれてストーリーをクリアしてもそのまま。
主人公は元の時代に戻る事ができない。
主人公の目的の一つが元の時代に戻る事だと思っていたので拍子抜けである。
アルセウスに会えたら戻れると思っていた。
そこも含めてストーリーに感動できる部分が少なかった気がする。
ストーリー的に盛り上がる場所もなく、最終的に元の時代に戻れない主人公。
控えめに言って薄味な内容だったのではないだろうか。
総評
決してつまらない作品ではない。
面白いか、面白くないかでいえば「面白い作品寄り」だとは思う。
ただ、今回初の試みが多かったため、各所の作りが粗かった点は否めない。
このゲームに「ポケモン」という土台が無かったら買っていたかというと微妙である。
ポケモンのしっかりした土台があったので楽しめた。
新要素も粗は目立つものの意欲的な作品であったし、新しいことをしなければ廃れていくゲーム業界でこういった挑戦は必要であると思う。
逆に「ポケモン」ということで期待値のハードルが上がっていたこともあるだろう。
それにしても作りが粗かった感じはマイナスである。
もう少し丁寧に作れていれば良作、名作と呼ばれる出来になったであろう。
辛辣な意見になってしまったが忖度しない評価としては以上である。
ポケモンが好きでこれまでの作品をたくさんやっている方であればやってみるのもいいかな、と思う。
ただ「おすすめのソフト」として人に紹介するレベルではないかな、とも思う作品であった。
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