ゲーム概要
デジタルモンスター、略してデジモンを扱った作品の最新作(2022年現在)。
内容はテキスト(一部CV付き)を読みながら選択肢を選んでいくアドベンチャーモードと敵との戦闘によって発生するターン制ストラテジーモード(いわゆるファイアーエムブレムのような)をこなしながら先に進んでいくタイプのゲーム。
どちらかというとアドベンチャーモードの方が長いため、ほぼアドベンチャーゲームとして認識しておいたほうが良い。
アドベンチャーモードの選択肢によって主人公のカルマ(属性のようなもの)が変化し、ストーリーとデジモンの進化先がいくつかのタイプに分かれていく。
ストーリーについては途中からではあるが結構大胆に分岐する。
当然マルチエンディング。
ゲームのボリュームについてはしっかりCV聞きながら文章をオートで進めて読んでいった場合(私個人としては)30時間ほどで一つのエンディングを迎えられるくらい。
アドベンチャーゲームという性質上、ストーリーについてはここでは説明を行わないが、初代デジモンアドベンチャーやその派生作品を見ている人ならニヤリとする演出があったり、デジモンシリーズのアニメなどをオマージュした部分が多い。
ただし、ストーリーの内容自体は結構大人向き、というかデジモンの可愛らしさとはギャップがあり結構暗い雰囲気で進んでいく。
ストラテジーモードに関しては非常にシンプルな内容。
デジモンについては2種類あり、主人公たちのパートナーデジモンとそれ以外のフリーデジモンがいる。
パートナーデジモンはストーリー進行と同時に主人公と仲間(人間)の好感度を上げることで進化させることができる。
フリーデジモンは戦闘などで入手可能なアイテムを使用して進化していく。
どちらも戦闘によって経験値を得てLVが上がっていくなど、その辺のシステムは非常に単純でわかりやすく作ってある。
ただ先に述べたように戦闘部分のボリュームはそれほど多くないため、よく言えば単純でわかりやすいのだが、悪く言うと作り込みが浅く、おまけ程度である。
また、登場デジモンがこれまでのシリーズよりも少なく、ロイヤルナイツや七大魔王等の超究極体デジモンについては一部しか登場していない。
感想
まずはストーリーについて。
ストーリー自体は大人向けで楽しめた。
ただ、サヴァイブとタイトルにはあるが、食料をどう調達するかや寝床の確保等で奔走する話、ではなく異世界に飛ばされた少年少女たちの人間模様と脱出劇である。
概要で触れたとおりこれまでのデジモンアニメ等を視聴していた人にとっては演出や登場デジモンについて興奮できる部分はあると思う。
ただ、逆にいうとこの作品からデジモンを知った人にとってはありがちなパートナーのモンスターとの友情劇と異世界脱出劇に映ってしまうかもしれない。
衝撃的なシーンはあるもののこれまでのデジモン作品を知っていればパートナーデジモンがいるキャラクターの扱いとしては異例で衝撃を受けるかもしれないが、デジモンを知らない人にとってはデジモンの世界観ってこういうものなのかな、で終わってしまうような気がする。
あとは、結構長い、というかくどい。
周回を前提としたマルチエンディング方式のストーリーとしては周回を重ねるほどに同じストーリーを何度も読むこととなるため、冗長に感じられる。
分岐するストーリーによっては登場人物の掘り下げが少なかったり、そもそも周回前提のストーリーということなのであれば、選択肢によるストーリー分岐以外にも周回数によってもう少し内容に変化を持たせていれば冗長さを感じることが無かったかもしれない。
ただ、概ねストーリーの全体としてはよくできている印象で、一週目、二週目くらいまでは(分岐によっては)冗長感を感じずに進めることができるかもしれない。
次にアドベンチャーパートのシステムについて。
選択肢によってストーリー分岐やデジモンの進化先の変化があるものの、三種類のカルマの属性のうちどれが高いかによって決まるシンプルなシステム。
細かいテクニックはいらず、決められたストーリーに進みたければ同じ種類のカルマが上がる選択ひたすら選ぶだけでストーリーは分岐する。
また、どの選択肢でどのカルマが上がるかも少しやるとすぐにわかるようになる。
これをシンプルで分かりやすくていい、ととらえるか作り込みが浅いととらえるか。評価が分かれるとことではある。
その他に選択肢による主人公と仲間(人間)との好感度もあるものの、基本的にはこれが上がったところでストーリーの内容が変化するわけでもない。(一部例外はあるが。)
好感度の高い女子とお付き合いできるわけでもないし、そもそも恋愛要素はほとんどない。
じゃぁ、好感度ってなんだ、となると仲間のパートナーデジモンの進化条件くらいにしか利用されていない。(好感度が低いと仲間のパートナーデジモンが完全体、究極体に進化できない。)
一応、好感度が高いと戦闘時にデジモン同士のサポートが発生しやすくなる、とのことだが正直サポートについて好感度が影響して楽になった印象はほとんどない。
ペルソナシリーズ等と比べるのはいささか気が引けるが、そういった名作と比べると作り込み自体がかなり薄いと言わざるを得ない。
マルチエンディングであることは間違いないが、分岐自体がおおざっぱ。
好感度で仲間との関係も変わらないため、好感度システムは半分くらい死に要素になっている。
また、アドベンチャーパート全体として周回前提の割に一度選んだ選択肢がわからないなど、「この選択肢選んだっけ?」となりやすく、周回前提ならそのあたりに配慮は欲しかった。
次に戦闘パートについて。
一応、キャラクターの向きとどちらから攻撃されたかによるダメージの増減、三すくみの関係性によるダメージの増減や高低差によるクリティカルの発生率の増減など基本的なストラテジー要素はある。
ただ、個人的な感想を厳しめに言うと戦闘パートについてはおまけのミニゲーム程度のクオリティである。
まず、戦闘に迫力がない。
それぞれのデジモンには通常攻撃と必殺技があるのだが、必殺技の迫力がない。
そもそも、それ以前にデジモンのモデリングや移動についてもクオリティが低いと言わざるを得ない。
PS2のゲームか?というくらい結構ひどいと思う。
SEについても使いまわしが多く、特に虫系のデジモンが移動する際の羽音も蚊の飛んでいる音に聞こえてしまい不快だった。
また、それぞれのデジモンの特徴が薄い。
先に述べた通りデジモンの攻撃方法には通常攻撃と必殺技があるのだが、それぞれデフォルトで一種類ずつしかない。
装備品で技を増やすことも可能だが、装備枠が2個しかなく、ステータスアップ系と技追加系で分かれてもいないため、技の追加を行う必要性を感じなかった。
一応、それぞれのデジモンにはパッシブスキル的な自動発動する個性のようなものがあるのだが、戦闘が大味なため、その辺を気にする必要もなく、空気となっている。
ただ、逆にいうとどんなデジモンでもLV上げすればクリアーできる、つまり好きなデジモンを使って攻略できるということなので悪い部分ばかりではない(のか?)。
この地形ならこのデジモンだな、とかこの相手にはこの必殺技で、とか考える必要はほとんどない。
良くも悪くも大味な戦闘となっている。
ストーリーの分岐は4種類、激情ルート、調和ルート、道義ルート、それと真エンディング(全員生存エンディング)ルートである。
これらのうち激情、調和、道義については8章までほぼ同じ内容となっている。(選択肢による些細な会話の変化はあるが)。
真エンディングルートについては他ルートと違い、死亡者がいないためそれなりに内容は変わるものの、話の大筋については他ルートと同じである。
一週目は緊張感をもって楽しめると思う。
ただ、周回すればするほど同じ内容の繰り返しが目に付き冗長に感じる。
登場人物のバックグラウンドや謎などについても周回していると「もうそれいいから。」となってしまい、ダレる。
そもそも序盤で「あーこれはこうなのね。」とある程度勘の良いユーザーならわかってしまう内容である。
また、前の周回でデジモンを究極体にしていた場合、仲間との好感度すら上げる必要性が無いため、選択肢についてもほとんど考慮しなくていい。
周回プレイ時はひたすら決まったカルマが上がる選択肢を選ぶだけの作業になってしまった。
後気になった点としては初代デジモンのオマージュが各所にある割には初代デジモンの最強デジモンであるオメガモンへ進化できるのが1つのルートしかない。
私個人的な感想を言えば道義ルートと真エンディングルートだけやれば後はやらなくてもいいような気もする。
デジモンの種類が少なく、ロイヤルナイツ、七大魔王等の最強クラスのデジモンが登場していない点も個人的には不満要素の一つであった。
それぞれの分岐をクリアすることで最強クラスのデジモンの追加はあるものの、少なすぎる。
各分岐をクリアすることでもっと多くの最強クラスのデジモンを追加することはできたはずなので、その点についてもデジモンを知っているユーザーにとっては浅さを感じる要因となっている。
総評
まず言っておきたいのが私自身、デジモンというコンテンツが嫌いではないということ。
あと決してクソゲーといわれるような内容でもない。
ここまでの感想で結構厳しい意見を出したのはこのゲームを買った人にデジモンというコンテンツを誤解しないでほしいという思いからである。
そういわざるを得ないくらいにはゲーム自体の内容は浅い。
プレイ時間的にはそれなりに時間のかかるゲームではあるが、内容が浅いため冗長に感じる部分が多い。
少なくとも私個人的にこのゲームで初めてデジモンに触れる人にお勧めできる内容ではないと感じる。
ただ、クソゲーか、というとそうではない。
ゲームの作りが浅いだけで内容が面白くないというわけではないし、デジモンを知っている人にとっては楽しめる部分も多々ある。
ただ、定価で税込み¥7000強という値段に釣り合っているかというと微妙であると感じる。
色々な部分で安く作られている感じは否めないので定価で買うことはお勧めしない。
デジモンファンとして面白いので買ってほしい、と言いたいのは山々ではあるが胸を張ってそういえないのがつらいところではある。
セールで安くなって懐に余裕ができたときがあれば。
↓セールで安くなったら…かな。参考までに価格。
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